思い出のG1~安田記念~

競馬を愛する皆様。お元気ですか。館山速人です。

G1週の恒例となりました、「思い出のG1」シリーズ。今日は安田記念について取り上げたいと思います。

2010年 色褪せない刹那の輝き~ショウワモダン~

競走馬というのは、時として、それまでの走りからは想像できないほど、短期間のうちに「激変した」走りを見せてくれるサラブレッドがいます。

例えば、それまでの「G1では一歩足りない」というイメージを払拭し、8歳にして天皇賞馬に上り詰めたカンパニー。

例えば、1月に未勝利を脱出したかと思うと、その後4か月で急成長し、ダービーの栄冠を勝ち取ったディープスカイ。

そして、2010年の安田記念勝ち馬、ショウワモダンもそんな一頭でした。

ショウワモダンは2006年7月1日にデビューすると、6戦目となる2007年1月の3歳未勝利戦で初勝利。その後もコンスタントに勝ち星を積み重ね、6歳となった2010年年始までに7勝を挙げる活躍を見せていました。

とはいえ、この時のショウワモダンに対する世間の評価は「たまにオープン特別で馬券に絡む道悪が得意な馬」という感じでした。

実際、それまでの重賞成績は11戦して馬券圏内がなく掲示板も1度だけ。一方で、重、不良の芝での成績は5戦して2勝、2着1回と得意にしていました。

なので、極悪馬場で行われたその年の中山記念で3着に入っても、「やっぱり、この馬道悪は走るなぁ」というくらいの認識だったように思います。

しかし、この時にはもうショウワモダンの覚醒は始まっていました。

次走東風Sを3着とすると、続くダービー卿CTでは7番人気の低評価を覆す見事な勝利。このレースで生涯初めて「上がり3F33秒台」を記録し、速い馬場へ対応する力をつけていることを見せる形になりました。

しかし、この期に及んでも、俺っちは「どうせ、ただの中山巧者でしょ。」くらいにしか思っていませんでした。事実、ダービー卿CTを入れてオープンで馬券になった7戦中6戦が中山競馬場でのものでしたし、今振り返ってもそのように評価したのも頷けるものでした。

世間もそう感じたのか、その次のレースであるメイSはオープン特別であるにもかかわらず、6番人気と決して高い評価ではありませんでした。

しかし、レースでは後方で足をためると、直線鋭い伸び脚で内をついて伸び、最後は1馬身4分の3差をつける快勝でした。

速い上がりのレース、東京競馬場とそれまで決して得意と言えない条件でしっかりとした走りを見せたこともあってか、陣営は中1週で安田記念への参戦を決めます。

俺っちも、この2走を見て「これは面白い存在になるぞ。」と思っていたのですが、いざレース直前になると、「やっぱりG1はそう簡単じゃないよね」と思い、評価は押さえまでになりました。

その、安田記念では今は亡き後藤浩輝騎手を背に中段からレースを進め、直線残り200mあたりで先頭に、スーパーホーネット、スマイルジャック、トライアンフマーチというG1実績馬の追撃を振り切り見事優勝!後藤騎手が歓喜のガッツポーズを決めました。

そんな中俺っちは「どうして自分の感性とショウワモダンの成長力を信じられなかったんだ」と激しく後悔するとともに、「ショウワモダンは完全に本格化したから秋以降もG1で好勝負できるだろう」と思っていました。

しかし、その後のショウワモダンは安田記念を勝ったことで燃え尽きてしまったかのように勝てなくなり、結局8戦して1度も馬券圏内に入ることなく引退しました。

今でも、「あの年のショウワモダンはなんであんなに急に強くなったのか」というのは、俺っちの中では謎のままです。

ただ一つ言えるのは、あの春見せたショウワモダンの力強い走りは、決してフロックなんかではなく一流マイラーのそれだったということです。

残念ながら血を残すことはできませんでしたが、俺っちの中ではずっと「思い出のマイラー」として残っていくことでしょう。

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