名実況で振り返る日本ダービー

こんちわ~す。館山速人で~す。

アシスタントの大澄晴香です。
今日も今日とて競馬のブログ。
今日は「名実況で振り返る日本ダービー」と題し、
過去の日本ダービーの名勝負を振り返っていきます。

「ウマ娘 プリティーダービー」で使われている固有実況のモデルになっている実況も出てくるのでお楽しみに!

96年 フサイチコンコルド「外から音速の末脚が炸裂する!フサイチコンコルド!!」

96年のクラシックはサンデーサイレンス産駒第2世代が3歳(現年齢表記 以下同)になった年。
この年のサンデーサイレンス産駒は「新世代の大種牡馬」として凄い勢いで台頭してきていてバブルガムフェロー、ダンスインザダーク、イシノサンデー、ロイヤルタッチの4頭は「SS四天王」とも呼ばれていた。

クラシック直前になって、バブルガムフェローが骨折でリタイア、ダンスインザダークも熱発で皐月賞を回避というアクシデントがあっても、本番皐月賞は1着イシノサンデー、2着ロイヤルタッチとSS産駒がワンツーフィニッシュ。
SSの優位は揺るがないものとされていた。

迎えたダービーは1番人気が熱発明けのプリンシパルSを快勝したダンスインザダーク。当時25歳だった武豊騎手がとうとうダービージョッキーになるのではと期待されていた。

2番人気はそんなダンスインザダークを2度にわたり負かしているロイヤルタッチ。ダービー馬ウイニングチケットの弟として「兄弟ダービー制覇」を虎視眈々と狙っていた。
皐月賞馬イシノサンデーは3番人気。3番人気までをSS産駒が占めていた。

そんな中勝ったのはカーリアン産駒の持ち込み馬フサイチコンコルド。

彼は元々素質を高く買われていて新馬戦、すみれSと2連勝し「関西の秘密兵器」とも呼ばれていた。
でも体質に弱いところがあり、ステップレースに予定していたプリンシパルSを回避してのダービー直行。そのローテと2戦と言うキャリアの少なさから7番人気と言う低評価だった。

しかし、フサイチコンコルドはそんな低評価をあざ笑うかのように直線早めに抜け出し勝ちを掴みかけたダンスインザダークを「音速の旅客機」コンコルドのような速さで悠々と差し切った。

キャリア2戦という、おそらくJRAにおいては現実的に可能であろう最少キャリアでの勝利は、キャリア1戦でエプソムダービーを制した名馬になぞらえて「和製ラムタラ」とも呼ばれた。歴史に名を残すダービー馬だよ。

00年 アグネスフライト「栄光まで400」「豊の意地か!河内の夢かどっちだーーー!!」

「ウマ娘 プリティーダービー」で頻繁に聞くことのできる実況「栄光まで400」これの初出はおそらく2000年代最後のこの年のダービー。
この年のダービーは手に汗握る熱い叩き合いが見もの。

この年のダービーは1番人気が皐月賞馬エアシャカール。武豊騎手をして「こいつの頭の中が見てみたい」と言わしめた、調教をつける担当をその日クジ引きで決めていた、と言う逸話を持つ癖馬。
鞍上の武豊騎手は98年、99年とダービーを連覇しており史上初の「ダービー3連覇」をこの馬で狙っていた。

2番人気はダイタクリーヴァ。フジキセキ2世代目の産駒でスピード豊かな先行馬。皐月賞は惜しくもクビ差敗れていた。鞍上は当時22歳の若武者高橋亮騎手。

3番人気はアグネスフライト。前哨戦の京都新聞杯を3馬身差の完勝で勝ち上がってきた、祖母、母ともにクラシックホースと言う良血馬(ちなみにひとつ下の弟はウマ娘にも登場するアグネスタキオン)。鞍上の河内洋騎手はその祖母、母ともに騎乗していたベテラン。数多くのG1タイトルをものにしてきたが、ダービーの栄誉はまだとれていなかった。

https://twitter.com/ktvkeiba/status/1266134641896910848?s=20

直線、距離が長かったのか皐月賞2着のダイタクリーヴァが馬群に沈む傍ら、大外からエアシャカールが抜け出して、誰もが武豊の3連覇だと確信した。

その刹那、さらに外からやってきた栗毛の馬体。アグネスフライトと河内洋。その伸びっぷりはまさに「飛んでいる」と言う表現がぴったりだった。

兄弟子、弟弟子の関係にある二人の追い比べはゴールまで続き、最後の最後まで勝利の女神がどちらに微笑むか分からなかった。
まさしく「豊の意地」と「河内の夢」のぶつかり合い。こんなに面白いレースはそうそうないと思う。

写真判定の結果、「河内の夢」が「豊の意地」をわずか7㎝上回り、デビュー27年目にしてついにダービージョッキーになった。
ダービーは「馬」と「馬」のぶつかり合いだけでなく「人」と「人」とのぶつかり合いも注目点のひとつだよ。

07年 ウオッカ「64年ぶりの夢叶う。ウオッカ先頭、牝馬が見事に決めました!」

この実況は「ウマ娘 プリティーダービー」でウオッカでダービーを(条件付きで?)勝った時に使われる実況の元ネタ。

この年のクラシックは皐月賞の3連単が215万つく大荒れのスタート。確か爆笑問題の田中さんがこの馬券とってたと思う。ダービーは皐月賞まで4戦4勝で皐月賞も上がり最速で追い込み3着に入ったフサイチホウオーが断然の1番人気。

2番人気は皐月賞馬のヴィクトリー。おじに先述の「和製ラムタラ」フサイチコンコルドがいる良血馬。鞍上の田中勝春騎手はこの馬で自身のG1連敗記録を「139」でストップさせた勢いでダービージョッキーの座を狙う。

3番人気は牝馬のウオッカ。桜花賞はダイワスカーレットの2着に敗れたものの、後続は引き離しておりその実力は牝馬の中では一枚上と言えるものだった。

レースは拍子抜けしてしまうくらい直線半ばからウオッカの独壇場だった。

前有利の展開を利して逃げ粘りをはかるアサクサキングス、サンツェッペリンを楽々と捉えて抜け出した。
「64年ぶり」「快挙」と言うのは人間だけで、ウオッカ自身は「勝利」が当たり前と言わんばかりの完勝劇。
「牝馬の時代」到来を告げるレースだったと思う。

と言う事で今回は3レースを紹介しました。
本当はもっと紹介したいレースがあるのですが、映像が用意できなかったり、週末の「ウマフリ編集部」さんの記事にストックしておきたかったりでこの3レースに絞りました。

ことしもどんな名実況が生まれるのか楽しみにレースの日を待ちたいと思います。