【ウマ娘】闘志は内から【史実紹介 メジロドーベル】
こんちわ~す、館山速人でーす。
アシスタントの大澄晴香です。
今日は祝日で時間に余裕があるという事で、久しぶりにウマ娘に登場するキャラクターのモデル紹介ブログを書いていきます。
今日紹介するのはどの馬でしょう?
今日紹介するのは11月10日前後に更新されるであろうガチャで新しく育成ウマ娘に加わると俺っちが勝手に思っているメジロドーベルだよ。
プロフィール
メジロドーベル
父:メジロライアン
母:メジロビューティー
通算成績:21戦10勝
主な勝ち鞍:エリザベス女王杯(G1)
生まれた時から波乱万丈
メジロドーベルは1994年、メジロ牧場に生を受けた。
メジロドーベルには本来なら一つ上にサンデーサイレンス産駒の兄がいたんだけれど、生まれてすぐに黄疸が出来、度重なる輸血の後感染症で亡くなってしまっていた。
そこでメジロ牧場がメジロドーベルの母メジロビューティーの血液型を検査したところ、メジロビューティーの血液型は特殊な血液型で日本の種牡馬でその血液型に「適合」するのは22%しかいないこと、血液型が「適合」しないと免疫力をつける前に母馬からの乳を飲んだ場合貧血を起こし命の危険があること(ただし、仔馬が免疫力をつけるためには初乳をもらう事が必要)、現在妊娠しているお腹の子=メジロドーベルの父メジロライアンとは血液型が「適合」しないことが分かった。
そのため、メジロドーベルは母メジロビューティーの初乳をもらう事が出来ず、同じ時期に出産を控えていた牝馬から代わりに初乳をもらう事になった。
こうした波乱含みのスタートを切ったメジロドーベルの一生。もしかしたらこの出来事によってメジロドーベルの”根性”が養われたのかもしれないね。
父ライアンと鞍上吉田豊の名を高めた孝行娘
メジロドーベルは父メジロライアンの初年度産駒として1996年にデビュー。
種牡馬にとって「初年度産駒の成績」と言うのはとても重要で、活躍馬を多く出せば「おっ、この馬の子供走るじゃん」ってなるから翌年度以降の種付けからは優秀な繁殖牝馬が数多くあてがわれることになるから、種牡馬として後世に名を残す可能性はグッと高くなる。
逆に初年度産駒の成績がイマイチだと「なんだ、あの馬の子全然走んないじゃん」ってなって翌年度以降種付け数は減る可能性が高くなる。当然質の良い繫殖牝馬が回ってくることも少なくなるから血を残せる可能性が少なくなる。
そんな種牡馬としての未来を決めると言っていいメジロライアンの「初年度産駒」としてメジロドーベルはこれ以上ない活躍を見せた。
まず、新潟の新馬戦でいきなりの勝利。種牡馬1年生にとっては「新馬勝ちの馬が出る」と言うだけで、大きなアピールになる。これだけでもメジロドーベルは十分な「孝行娘」と言えるんだけど、メジロドーベルはその後新潟3歳Sを挟んでサフラン賞⇒いちょうSと連勝。「初年度産駒から3歳(現年齢表記で2歳 ※以降旧年齢表記で統一)のうちに3勝する馬を出す」なんて生産界へのアピールとしては物凄く大きい。
実際、メジロライアンの初年度産駒には他にも年末のラジオたんぱ杯3歳S(今だとホープフルSに位置付けられるレース)を制したメジロブライトや、まだオープン特別の頃のホープフルSを勝つエアガッツなど活躍馬が次々に出てきてたから「メジロライアン、凄くない?」って競馬ファンの間では囁かれだしていた。この活躍は生産界も一目置いていたはずだよ。
メジロドーベルに話を戻すと、彼女は4戦3勝の成績を引っ提げて暮れのG1阪神3歳牝馬Sに挑戦する。
このレースでメジロドーベルの最大の脅威となったのは外国産馬のシーキングザパール。
メジロドーベルとシーキングザパールは一度新潟3歳Sで対戦経験があってその時はメジロドーベルが5着でシーキングザパールが3着。両者敗れたとはいえシーキングザパールは大外枠からスタート直後外側に逃避するというロスがありながら追い込んでの3着だっただけに「負けて尚強し」を印象付ける競馬だった。
その後、シーキングザパールはデイリー杯3歳Sで2着メジロブライトに5馬身差をつける圧勝。
「メジロ家」にしてみれば、阪神3歳牝馬は同じメジロライアン産駒でのリベンジマッチと言う意味合いもあったかもしれないね。
レースではシーキングザパールが気の悪さを見せ伸びを欠く中、メジロドーベルが4コーナー抜群の手応えから直線も力強く伸びて完勝。父メジロライアンに初年度からG1タイトルをもたらした。
また、鞍上の吉田豊騎手にとってもこのレースは3年目にして初めてのG1勝利だった。
メジロドーベルと吉田豊騎手はデビューから引退までの21戦すべてで手綱をとることになる名コンビ。後に史上26人目の1000勝ジョッキーとなる彼の礎を築き、彼をファンの間に認知させることとなったのは間違いなくこのメジロドーベルだと言い切れる。
メジロドーベルは父メジロライアンと騎手吉田豊の未来を照らした孝行娘と言えるだろうね。
ライバル・キョウエイマーチとの牝馬3冠争い
順調に4歳を迎えたメジロドーベルだったけど好事魔多し、突然の不幸に見舞われる。メジロドーベルの厩務員であった堀口良吉氏が急逝され、担当厩務員が代わることになったんだ。
堀口氏の為にも負けられない牝馬クラシックは外国産馬のためクラシックに出走権がなかったシーキングザパールに代わり、キョウエイマーチと言う新たなライバルが登場した。
キョウエイマーチは桜花賞までに5戦し4勝を挙げた実力馬で勝ったレースは全て4角先頭のいわゆる「逃げ」のレースをしてきて勝ってきたスピードが売りの馬だった。
また、キョウエイマーチは日本の馬場より力がいるとされるヨーロッパの競馬で「80年代最強」と言われている父ダンシングブレーヴ、80年代から90年代にかけて日本のダート競馬を席巻した母父ブレイヴェストローマンからパワーも受け継いでおり、4勝のうち2勝はダートであげたものだった。
そんなキョウエイマーチ相手にメジロドーベルは不良馬場で行われた牝馬1冠目の桜花賞で4馬身差をつけられ完敗する。
スピードとパワーの両方を必要とされる阪神芝1600m不良馬場ではキョウエイマーチに分があったと言わざるを得ないレースだった。
続くオークスは重馬場で行われ、桜花賞と同じく「パワー」を要求されるレースとなったが、距離が芝2400mと伸び「スピード」よりも「スタミナ」が求められるレースになった。
そうなればメジロマックイーンを筆頭に日本有数のステイヤーを数多く輩出してきた「メジロ家」にとっては負けられないレース。キョウエイマーチを含め、他の馬が初の芝2400m+重馬場という、4歳牝馬にとって過酷な条件に苦しむなか、メジロドーベルは悠々と抜け出して2着に2馬身半差をつける快勝。桜花賞の雪辱を果たした。
ちなみにこの時に吉田豊騎手が見せた「右手人さし指を観客席に指さすガッツポーズ」は俺っちの中での「カッコいいガッツポーズ」のNo.1でいまだに一人の時にこのガッツポーズの真似をしたりするよ。
完全に中二病ですやん。
閑話休題。話を戻すと、スピードとパワーが求められたマイルの桜花賞ではキョウエイマーチが勝ち、スタミナとパワーが求められた2400mのオークスではメジロドーベルが勝った。この2頭の決着は牝馬三冠最終戦、京都芝2000mで行われる秋華賞に舞台を移すことになる。
2頭の秋初戦は、メジロドーベルが古馬相手となったオールカマーで牡馬を完封して勝利。一方のキョウエイマーチはローズSで春のNHKマイルカップを勝ったシーキングザパールを下し勝利と2頭とも順調にスタートを切った。
迎えた秋華賞はメジロドーベルが単勝オッズ1.7倍、キョウエイマーチが3.9倍。3番人気のメイプルシロップが10.0倍だから完全に二強ムードでとなっていた。
キョウエイマーチは2番手から4角先頭、メジロドーベルは中団から小回りの京都芝2000mと逃げる最大のライバル・キョウエイマーチを意識しての4角まくり。
どちらも最高の自分を出せる最善の競馬。
内で粘りこみを図るキョウエイマーチ、外から差しきりを狙うメジロドーベル。最後はこの2頭の争いになるも、残り100mでキョウエイマーチが力尽きメジロドーベルが2馬身半差の快勝。この世代の牝馬No.1を揺るぎないものにした。
古馬になってからは、メジロドーベルは中距離、キョウエイマーチは短距離~マイル中心に走ったためこれがこの2頭の最後の対決になったけど、1800mくらいでもう一度対決が見たいライバル同士だったと思うよ。
メジロドーベルの末脚には馬場鉄志アナの名調子がよく似合う
3歳~4歳を11戦7勝の成績で終えたメジロドーベルだったけど、古馬になってからは10戦3勝と古馬・牡馬の壁にぶち当たる。
今は古馬牝馬が牡馬相手に互角、あるいはそれ以上のレースを見せることなんてザラにあるけど、この時代の古馬牝馬は牡馬の一級戦とは差があるという考えが一般的で、古馬牡馬相手の重賞で勝てても、G1との結びつきが強くないようなレース、例えばローカルのG3、とかが多かった。
だからメジロドーベルの苦戦もそこまで不思議じゃないんだけど、なぜかこの馬に関しては「対牡馬が苦手」と言う風に「単純な力負けではない」と言う捉えられ方をしていたと思うし、ウマ娘でも「男性が苦手」と言うキャラ付けがされている。
逆に言えばそれだけメジロドーベルが「本来なら牡馬相手でも通用する力がある」と見られていたことの証左であるとも言えるんじゃないかな。
それでも通用しなかったのにはどんな理由があるんでしょう?
メジロドーベルには結構な「かかり癖」があって道中に折り合いを欠くレースが多かったしそれが原因のひとつなんじゃないかと思う。実際「メジロドーベルは(周りに馬がいてかかり癖を我慢できる)内枠の時に買え」って言ってた人もいるくらいだからね。
事実、98年、99年と連覇したエリザベス女王杯はそれぞれ1枠1番、3枠6番と言う内目の枠だったし直線もインから差してきてる。
98年のエリザベス女王杯ではそれまで3度対戦し、そのすべてで先着を許した1歳上のオークス馬エアグルーヴをはじめて負かした。
このレースまではエアグルーヴが天皇賞秋制覇を筆頭に一級戦の牡馬相手でもバリバリやれていたことから「エアグルーヴの方が格上」と言う印象が強かったんだけど、このエリザベス女王杯で、潜在能力では決して引けを取らないことを証明したと言えると思う。
99年のエリザベス女王杯は連覇をかけた引退レース。ひとつ下の世代のオークス馬エリモエクセルや2冠牝馬ファレノプシス、ふたつ下の世代のフサイチエアデール、ヒシピナクル、ブゼンキャンドルと言った下の世代からの突き上げがある中、内の馬群から力強く抜け出して有終の美を飾り3歳~6歳の4年間毎年G1を勝つという偉業を成し遂げた。
この二つのレースを関西テレビでは馬場鉄志アナウンサーが実況しているんだけど、メジロドーベルと言えばどうしても馬場鉄志アナの名調子が浮かんでくるんだよね。
「内からメジロメジローーー!!」
「4回目の挑戦で、4回目の挑戦で、ついにエアグルーヴを破りました!」
「内からドーベルーーー!!」
「女王の座は譲らないぞ!!」
は心に残る実況だね。
この印象があるから
「メジロドーベルが来るのは内から」
と言う印象が強いのかもしれない。
松に鶴
梅に鶯
メジロドーベルに馬場鉄志だよ。
メジロドーベルの子孫たち
ウマ娘から競馬に興味をもって
「今すぐにメジロドーベルの子孫たちを応援したい」
って言う人のために現役のメジロドーベルの血を受け継ぐ馬を紹介します。
まずは今年のフラワーCを勝ったホウオウイクセル。この馬はメジロドーベルの孫にあたります。父ルーラーシップがエアグルーヴの子供だから、現役時代対決した2世代のオークス馬両方の血を受け継ぐ馬です。
今年の秋の2戦は出遅れが響いて大敗が続いているけど、今年の3歳牝馬はレベルが高いと言われているので今後も注目すべき存在と言えるでしょう。
続いてコウソクスピード。
この馬はメジロドーベルのひ孫にあたり3勝クラス、主にダートの短距離で走っています。
去年の秋に1勝クラス・2勝クラスと連勝して昇級初戦の3勝クラスでも1番人気を背負うほどの期待がされていました。
残念ながら3勝クラスに上がってからは苦戦が続いていますがポテンシャル的にはこのクラスでも十分通用する馬だと思いますので、「穴馬券が獲りたい」と言う方は追い続けてもいいかもしれません。
また、デビューは来年以降になりますがメジロドーベルの孫で先述のホウオウイクセルの弟にあたる1歳馬ブレイクボーイはアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」を運営するサイゲームズの親会社サイバーエージェントの代表取締役社長藤田晋氏が馬主となっています。
もしかしたら馬主さん肝いりの馬なのかもしれませんね。