馬柱の数字だけでは見えてこない「本質」~エプソムカップ回顧~
こんちわ~す。館山速人で~す。
アシスタントの大澄晴香です。今日はエプソムカップの回顧をしていきます。
時計&ラップタイム
勝ちタイム:1.47.7 ラップタイム:12.5-11.2-11.6-11.9-11.9-12.1-11.8-11.9-12.8 前半4F-後半4F:47.2-48.6
トーラスジェミニは「消耗戦」にメチャ強い
レースは18番人気のトーラスジェミニが3着に残ったことで3連複配当が73万円という大波乱でした。Twitterでも「トーラスジェミニ(を買うこと)は無理!」という声が相次いでいました。
うーん。そう思う気持ちは分からなくもないけど、ぶっちゃけ俺っちの考え方だと、上位3頭の中だったらトーラスジェミニが唯一買える馬だったよ。
それはまたどうしてですか?
予想の時も話したけどここまで雨が降るとレースは「荒れ馬場の消耗戦」の様相を呈してくる。トーラスジェミニが勝った2勝クラス、3勝クラスのレースラップを見ると、2勝クラスが12.7-11.2-11.4-11.4-11.9-11.9-11.5-12.4、3勝クラスが12.4-11.2-11.3-10.9-11.3-11.7-11.8-12.7とどちらもゴリゴリの前傾ラップ。後者に関しては残り1000m地点から加速ラップが一度も出ない典型的な消耗戦のラップ。
この両レースをトーラスジェミニは3角先頭という自分から動く主体的な競馬で勝っている。ラップタイムの優秀さから見てもこの馬が「脚の削りあいになるような消耗戦」を走るのに適した耐久力を持ったことは明白だった。
それに近いことはダービー卿CTの予想でも指摘されていますよね。(以下のリンク先参照)
そうそう。ましてやこれだけの雨が降っての不良馬場なんだからトーラスジェミニのように「前に行く馬」は無条件で買い要素になるし、この最低人気は全然買える最低人気だよ。
なのに結局印はつけなかったんですね。
うーん。それを指摘されると痛い。その2勝クラスと3勝クラスのレースがそれなりに時計が出てたから「荒れ馬場適性」の方で疑問符をつけちゃったんだよなぁ~。
現代競馬の予想は「上がりの数字」に囚われ過ぎている
しかし、館山さんの仰ることを考えるとトーラスジェミニは十分買えるんじゃないかなと思えてきますね。なんでこんなに人気が無かったんでしょう?
うーん。トーラスジェミニって強さが伝わりづらい馬だと思うんだよね。「馬柱映えしない」という表現がシックリくるんだけど。
「馬柱映え」ですか?
そう。トーラスジェミニってこれまで勝つときは勝ち切るけど、負けるときは馬券圏内からは確実に飛んでいるし、上がり3Fの数字もメンバー中3位以内に入るような目立つ脚を使ったことは1度しかないし、33秒台の上がりを使ったこともない。ハイペースでの勝利を示すのはペースの欄にある「H」の文字くらいで決して「パッと見」で良い印象は持たないと思うんだよね。
でもそれぞれのレースを丁寧に見ていくと、厳し流れを自分で作り出して、後続の馬に脚を使わせる消耗戦にすることで生きるこの馬の「持ち味」は見えてくる。そこでやっとその持ち味は今回のレースにおいて重要という事が分かる。
でも館山さんは結局トーラスジェミニ買ってないんですよね。
うん、まぁ………。
重馬場成績の数字に潜む落とし穴
重馬場と言えば戦前は「重馬場が得意なのではないか」と言われていたピースワンパラディ、レイエンダ辺りは結果を残せませんでした。
うーん。その2頭に関しては重馬場や不良馬場が得意だとは思えないんだよね。
そうなんですか?
ピースワンパラディは確かに不良馬場で【1/1/0/0】の成績だけど、2着に敗れたレースに関しては個人的に「落としてほしくないレース」だと思ってたから「2着を確保した」というより「取りこぼした」という印象の方が強いレースだったし、勝ったレースに関してはゴールから数えて2F目に11.2という速いラップが出ているから、今日の馬場程悪くなかったのではないかと考えられる。
なによりこの馬勝ったレースはその不良馬場のレース以外全てラスト3Fに11秒台前半が2F以上出てくるような「最高速比べ」のレースだったし、それを考えるとパワーが要求される今回のようなレースに対する適性が担保されていたわけではなかったと思うよ。
でも館山さんはピースワンパラディが本命でしたよね。
うん、まぁ………、ずっと追いかけてた馬だし………。まぁ、この馬に関しては良馬場になれば巻き返してくれるでしょ。
あと、レイエンダの方も同じことが言えて、これは予想のブログでも指摘したけど、この馬が好走してきた稍重のレースってどちらもラスト3Fに11秒台前半が2F以上出るような馬場で決して「荒れ馬場」とまでは言い切れない馬場だったんだよね。
だからここまでの荒れ馬場になってしまうと「稍重で2連対」という数字を過信して良いかは疑問符が付くところだったと思うよ。そして、
レイエンダに関してはしっかり印をつけなかったよ ( -`ω-)どや!
そこそんなに威張るところじゃありません!!
競馬力向上には「馬柱に載っていない情報」を探すことが必須
で、今日はこのことを声を大にして言いたいんだけど
競馬をより楽しんだり馬券を当てたりするためには競馬新聞とかに載ってる「馬柱」以外の情報もしっかりと見ること
が重要になってくるよ。
馬柱の情報からだけだと「トーラスジェミニはオープンだと足りない」「ピースワンパラディとレイエンダは重馬場得意」と思ってしまいそうだけど実際はそうとは限らない。
俺っちはラップタイムをよく見るからそこの目線で説明させてもらうと、トーラスジェミニは2勝クラス、3勝クラスのラップ内容から「消耗戦ならばオープンでも通用する」と思ってたし、ピースワンパラディとレイエンダに関しては過去のレースを見る限り必ずしも重馬場が得意とは言えないと思ってた。
今回は「ラップでの考察」が当てはめやすい事例だったけど、レース映像からわかることも多いだろうし、馬体や調教からわかることもいっぱいあるだろう。そういう事を調べていくことで競馬の新しい一面が発見できたり、予想力のアップにつながると思うよ。
具体的な方法論は何かありますか?
俺っちはラップタイムをもとに予想するから、毎週のレースのラップタイムはエクセルに記録しているよ。ラップタイムだけならJRAの公式サイトやnetkeibaで無料で確認できるしね。JRAの公式サイトからなら無料でレース映像も見られるし便利だと思うよ。
まとめ
1着 ダイワキャグニー
◆本編では一切触れていないけどぶっちゃけこの馬の適性については掴みかねているところが大きい。
◆これまでのこの馬のイメージは「スローの切れ味勝負」だったが逃げ先行を試すようになってこの傾向にも変化が表れているのかもしれない。
◆ぶっちゃけ個人的には相性が悪いという意味で「苦手な馬」。
3着 トーラスジェミニ
◆後続馬になし崩し的に脚を使わせるような消耗戦◎。
◆ハイペースでも先手がとれてしまえばかなりしぶとい。
◆小回りコースの1600m~2000mで要注意。
7着 ピースワンパラディ
◆馬柱の見栄えの上では重馬場は得意そうだが、本質的には切れ味を生かせる良馬場の方が良いタイプ。
◆これで見切るのは早計。