The 主人公~ウマ娘から名馬を語る・スペシャルウィーク編~

競馬を愛する皆様。お元気ですか。館山速人です。

さて、昨年放送された「ウマ娘~プリティーダービー~」というアニメをご存じでしょうか。詳しくは以下のリンクをご参照頂きたいのですが、簡単に説明しますと「かつての名馬を擬人化(美少女化)し、そのレースを描く」という内容でした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウマ娘_プリティーダービー

競馬ファンからは賛否両論あったようですが、昔の競馬を思い出させるような演出やセリフも多数ありましたし、スポ根アニメの王道を行く展開もあり、競馬に親しみのない人でも楽しめる要素もあったので、俺っちとしては十分に楽しむことが出来た作品でした。

前振りが長くなってしまいましたがここからが本題。俺っちのような古参競馬ファンとしては、この作品をきっかけに競馬に興味を持った人に、もっと競馬というものを知ってほしいですし、ウマ娘に登場した過去の名馬のことももっとしてほしいなと思い、このブログではアニメに登場したウマ娘のモデルとなった競走馬を、自分なりの目線で紹介していきたいと思います。(競馬の初心者講座的な企画も別で考えております。こちらも乞うご期待!!)

さて、記念すべき第一回は

スペシャルウィーク

を紹介したいと思います。

ウマ娘では主人公という立ち位置だったスペシャルウィークですが、モデルとなったスペシャルウィークもそれはもう「主人公感」に満ちた名馬でした。その主人公感を醸成させた要素が、1.印象的な生い立ち、2.強力なライバルの存在、3.いくつかの挫折、4.劇的な勝利にあると思います。それでは順を追って一つずつ見ていきましょう。

印象的な生い立ち

スペシャルウィークの母キャンペンガールはスペシャルウィークを産んで5日後に亡くなっています。そのためスペシャルウィークは幼少期ばんえい競馬用の農耕馬に育てられ、また、その乳母の気性が荒かったため、時には人の手で育てられたとのことです。(この時、スペシャルウィークを育てた方が「お母ちゃん」のモデルだそうです。)

この点は、(大リーグボール養成ギプスとかそういう「スパルタ教育」の様なものはありませんが)、星一徹や明子の手で育てられた「巨人の星」の星飛雄馬に通ずる部分があると思います。

強力なライバルの存在

名作と呼ばれる漫画、アニメ、映画、ドラマには必ずと言っていいほど「強力で魅力的な多士済々のライバル」が存在します。スペシャルウィークにも、同期には、「種牡馬失敗」の烙印を押された父の汚名をすすがんとするセイウンスカイ、父は欧州最強馬、母はアメリカが誇る名馬という超良血キングヘイロー、「舶来の大砲」エルコンドルパサーグラスワンダーという外国産馬2頭、上の世代には名門メジロ牧場の結晶メジロブライト、牝馬の時代を切り開いた女帝エアグルーヴ、下の世代には後に生涯獲得賞金王となる世紀末覇王テイエムオペラオーと幾多のライバルがおりました。

特にスペシャルウィークと同世代のいわゆる「98年クラシック世代」はいまだに「最強世代」として挙げる人も多く、本当に豪華なメンツがそろっていたと思います。

いくつかの挫折

競走馬の中には、ディープインパクトやシンボリルドルフのように「ほぼ挫折を知ることなく引退した馬」というのもいますが、スペシャルウィークに関しては名馬と呼ばれる馬の中でも「挫折」を多く経験した馬だと思います。

確勝を期したレースで単勝万馬券の馬に負ける。

三冠レースのうち2つをセイウンスカイに完封される。

現役最強馬決定戦と言われたレースでグラスワンダーに完敗する。

そこからの復権を図る休養明け初戦のレースでボロ負けし、「あの馬は終わった」とささやかれ始める。

ついには調教ではるか格下の馬にも先着される。

こういった挫折はドラマだと「伏線」となるわけですが、現実にスペシャルウィークは「これを伏線として利用していたんじゃないか」というくらい、ドラマチックに勝っていくことになります。

劇的な勝利

スペシャルウィークは通算でG1を4勝していますが、そのどれもがドラマチックで、強く印象に残るレースでした。

日本ダービーは、武豊騎手の「最後まで残っていた夢」としてどうしても取りたいレースで、皐月賞で後塵を拝したセイウンスカイ、キングヘイローをまさに「並ばない。並ばない。あっという間に交わした」という三宅正治さんの実況の通り、置き去りにして見事リベンジを果たし、武豊騎手の夢を叶えることが出来ました。

余談ですが、筆者は(というか競馬ファンの多くは)この時ほど、武豊騎手が感情を表に出したことを見たことがありません。天皇賞(秋)やジャパンカップでもそうですが、スペシャルウィークは、ディープインパクト以上に「武豊騎手の感情を揺さぶった馬」だと思います。

天皇賞(春)は1歳上の王者メジロブライトと同期のクラシック二冠馬セイウンスカイを相手に、「現役最強」をかけた戦いをしきっちりと勝利。実況の杉本清さんに「あっけなくスペシャルウィーク」と言わしめ、文字通り「古馬中長距離界の王者」として君臨したレースでした。

天皇賞(秋)は、天皇賞(春)が終わった後連敗した上に、調教でも格下の馬に遅れをとり、「スペシャルウィークはもう終わった」と戦前は評価を受けていました。そんな中、陣営は「ダービーを勝ったころと同じ体重に戻せば走るのではないか」という考えのもと、ダイエットを施し、武豊騎手も「好位置からの競馬をやめ、直線一気の競馬をすることでスペシャルウィークの闘志を蘇らせる」という意図のもとレースを進めました。すると直線、スペシャルウィークは思い出したかのように豪脚を発揮。見事に差し切り勝ちを決めました。

またまた余談ですが、このとき武豊騎手はインタビューで、前年の同レース中に騎乗していたサイレンススズカをけがにより亡くしていたことから、「サイレンススズカが背中を押してくれたのかも」と語ったという逸話が残っています。

ジャパンカップでは、当時の世界最強馬モンジュー(ウマ娘の「ブロワイエ」のモデルですね。)が参戦。モンジューは、前年のジャパンカップでスペシャルウィークを相手に完勝したエルコンドルパサーを凱旋門賞で負かした相手。その後、エルコンドルパサーにはリベンジする機会がなかったので、スペシャルウィークにとっては自身のプライドにかけても負けられない相手でした。また、このモンジュー以外にも、この年のジャパンカップは各国のダービー馬が多数参戦し、豪華メンバーとなったレースでした。このレーススペシャルウィークは「日本総大将」として迎え撃ち、横綱相撲でそれらの馬を返り討ちにし、間接的ではありますがエルコンドルパサーにリベンジを果たし、同時にエルコンドルパサー「の」リベンジを果たすこともできました。

こんな主人公感にあふれたスペシャルウィークの孫が、今年ダービーを騒がせています。その馬の名はサートゥルナーリア。ディープインパクトやオルフェーヴルにも劣らないといわれる馬なので、ウマ娘をみて「スペシャルウィークファンになった」という方は、この馬を応援してみてはいかがでしょうか。

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