漫画のような攻防撃~思い出の有馬記念・接戦編~

こんちわ~す。館山速人で~す。

アシスタントの大澄晴香です。今日は「4日連続『思い出の有馬記念』特集」の第2回ですね。

今日は「接戦編」として、1999年の有馬記念を紹介するよ。

このレースはテレビアニメ「ウマ娘」にも登場したグラスワンダーとスペシャルウィークが2cm差のマッチレースを演じたことでも知られる名レースですよね。

「名レース」と言うのは間違いないけれど、「マッチレース」と言うと少し語弊があるかな。なぜならこのレースの見どころは、決してグラスワンダーとスペシャルウィークだけじゃない。他にも素晴らしいレースを魅せてくれた馬が何頭もいる。競馬の「スポーツ」としての面白さが凝縮されたレースだったんだ。

最後はやっぱり最強の2頭!!

この年の有馬記念は今年のメンバーに負けず劣らずの豪華布陣で、前年の天皇賞(春)を勝ったメジロブライト、その年のクラシックホースであるテイエムオペラー、ナリタトップロードを含めG1ホースが7頭も出走。その他にも天皇賞(秋)2年連続2着などこの時は名バイプレイヤーの地位を築いていたステイゴールド、故障があってキャリアは8戦ながらも、その年の朝日チャレンジカップと京都大賞典を連勝したシンボリルドルフ最後の大物ツルマルツヨシなどが出走していた。

しかし、そんな錚々たるメンツでも世間の評価はスペシャルウィークとグラスワンダーの「2強」と言う見方が大勢を占めていた。

スペシャルウィークは言わずと知れたダービー馬。その年は、一時期スランプはあったもののG1を3勝、天皇賞(秋)、ジャパンカップを連勝しいわゆる「秋古馬三冠」を狙って引退レースである有馬記念に狙いを定めてきた。

グラスワンダーは前年の有馬記念の覇者。秋は毎日王冠以降順調さを欠いたものの、宝塚記念ではスペシャルウィーク相手に3馬身差の快勝を見せており、この馬最大の長所である4角の捲りが決まりやすい中山コースではこちらが有利という声もあった。

時代を彩った同世代の名馬最後の対決。俺っちの心は躍ったよ。

それで実際のレースはどうだったんですか?

逃げ宣言をしていたゴーイングスズカがハナを主張。グラスワンダーが後方からレースを進め、スペシャルウィークはそれをさらに後ろから見る形。道中の位置取りは違えど、グラスワンダーがスペシャルウィークをマークする形でレースを進めた宝塚記念とは全く逆の形になった。

レースが動いたのは3コーナーあたりから。グラスワンダーが十八番とするまくり戦法でポジションを上がて行くと、それにスペシャルウィークが追随する形。ペースが一気に上がっていき並の馬ではついていくのがやっとというレースになってきた。

4コーナーの出口で先頭に立ったのはツルマルツヨシだった。グラスワンダーがやや外に膨れた間隙を突く形で、それを盾にしながら上手く4コーナーを周った藤田伸二騎手のファインプレーに見えた。

直線、追いすがるグラスワンダーを何とか振り切ろうとするツルマルツヨシ。残り1Fを切るとツルマルツヨシが後続を一度引き離した。

これまでけがに泣いてきたシンボリルドルフ最後の大物がついに戴冠を果たすのかと誰もが思ったその瞬間、グラスワンダーとツルマルツヨシの間を一頭の馬が凄い勢いで伸びてきた。

皐月賞馬テイエムオペラオーだ。

世代交代も狙う3歳馬が2強の評価に待ったをかけるかのように鋭い末脚で伸びてきて残り50mくらいで先頭に出る。

その瞬間だった。

「お前の時代はまだ早い。」そう言っているかのように、大外から再度グラスワンダーとスペシャルウィークが伸びてきた。

ゴールまで残りほんの10mばかり。グラスワンダーとスペシャルウィークが並んで先頭に躍り出る。そのまま態勢をあわせたままゴール。勝負は写真判定に持ち込まれた。

残り100mを切ってからこれだけ態勢が入れ替わるのも珍しいですよね。

まさにそれ!これだけの逆転に次ぐ逆転劇は競馬じゃそうは見られない。しかも「現王者2頭」VS「新興勢力」VS「下の世代の強豪」というストーリー的にも燃える展開で、競馬のスポーツとしての熱さ、ドラマとしての面白さが詰まったレースと言えるだろうね。

結果としてはグラスワンダーが勝ったんですよね?

実はこれ裏話があって、グラスワンダーの的場均騎手は「負けた」と思って早々に装鞍所に引き上げたのに対し、スペシャルウィークの武豊騎手は「勝った」と思ってウイニングランにガッツポーズまでしちゃってるんだ。

あらあら、武豊さんにしては珍しい。

実際、2人の名手が判断を誤るくらいの大熱戦だからね。そりゃ凄いレースだったんだよ。

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