ラウダシオンは「強い」と言うより「上手い」という言葉が似合う~NHKマイルカップ回顧~

こんちわ~す。館山速人で~す。

アシスタントの大澄晴香です。今日はNHKマイルカップの回顧です。

時計&ラップタイム

勝ちタイム:1.32.5 ラップタイム:12.3-10.4-11.4-11.9-12.0-11.3-11.2-12.0 前半4F-後半4F:46.0-46.5

内有利・前有利の「トラックバイアス」が強く表れる結果に

NHKマイルカップは勝ったのが2番手からレースを進めたラウダシオン、2着が逃げたレシステンシアと前に行った馬で決まりました。

これを見る限りいわゆる「トラックバイアス」がかなり強く表れた結果と言えるね。内枠、先行馬がかなり有利な馬場で外枠の差し馬にはノーチャンスのレースだった。俺っちは対抗がウイングレイテスト(8枠18番で後方からレースを進める)だったから泣きそうになったよ。

あらあら、それはドンマイです。勝ったラウダシオンについてはどう評価しますか?

正直、この馬に「強さ」をあんまり感じないんだよねぇ~。どちらかと言うと「競馬の上手さ」を感じるね。

「競馬の上手さ」ですか?

そう。ハイペースでもすんなり先行できるし、鞍上の仕掛けの指示に反応できる加速力もある。「鞍上の思い描いたレースがしやすそうな馬だなぁ」という印象。馬場や展開にも左右されにくいし、レースセンスがあって競馬巧者と言う気がするね。

これは父であるリアルインパクトにも似ているし、リアルインパクトの母でありアイルラヴァゲインやネオリアリズムなど数多くの活躍馬を送り出したトキオリアリティーの牝系の良さをダイレクトに受け継いでいる気がするよ。

ラウダシオンの今後についてはどうでしょうか?

うーん。何となく、生粋のマイラーと言うよりはスプリントもマイルも守備範囲だけどベストは1400mってイメージはあるなぁ。リアルインパクトも全盛期は安田記念を勝ったけど、晩年は阪神カップを連覇したりしているからね。

あと、リアルインパクトやその兄アイルラヴァゲインは3歳で活躍した後しばらく頭打ちになってその後復活って言うのも珍しくない。

個人的にこれは3歳の春はレースの上手さで他の馬にアドバンテージをとってレースをしてきたけど、他の馬もレースを覚えてくる秋以降はそのアドバンテージがなくなって苦戦する、ただその間も着実に力をつけていってそれが少し後に開花するってイメージなんだよね。

だからラウダシオンも一時期スランプになったとしてもどこかで復活して息の長い活躍をするんじゃないかなと思ってるよ。

レシステンシアはもっと強気に乗っても良かった気はする

2着のレシステンシアはどうですか?

自分の力は出し切ってると思うけど、個人的にはもっとルメール騎手は強気に乗った方が良かったんじゃないかと思うよ。現役トップジョッキーにどの面下げて言うんだって話だけど。

今回は前半4Fが46.0、後半4Fが46.5とやや前傾のラップでした。

前半4F46.0と言うのは同じルメール騎手鞍上でメジャーエンブレムが逃げ切った2016年と同じなんだよね。ただこの時は真ん中2Fが11.7-11.7なのに対し今回は11.9-12.0とやや緩みが大きいんだよね。レシステンシアの特徴を考えるとここは緩める必要はなかったんじゃないかと思うよ。

まぁ、お手馬だったメジャーエンブレムと違ってレシステンシアの場合テン乗りだから馬を信じ切れないのは当然と言えば当然かもしれないけどね。これで鞍上が北村友一騎手ならまた違った結果になってたかもしれないと思うよ。この馬の場合やることがある程度決まってるから「騎手の腕」よりも「騎手がどれだけ馬を信頼できるか」の方が大事だろうし、何でもかんでもルメールに託せば良いと言うもんでもないと思うよ。

今後要注目は今回「外枠」だった「差し馬」⁉

しかしこれだけトラックバイアスがあるレースだと今回「外枠」だった「差し馬」は次走以降巻き返しても不思議はありませんね。

そうだね。特に気になったのはルフトシュトロームとウイングレイテスト。

どっちも館山さんが印をつけている馬ですね。贔屓目もあるんじゃないですか?

そんなことはない!

ルフトシュトロームは後方からレースを進めて、直線も手ごたえは割と残ってたのに残り200mまで前が開かず仕掛けが遅れて脚を余しての5着。不完全燃焼を絵にかいたようなレースぶり。

で、余談なんだけどレーン騎手ってそんなに上手いかなぁ?ってのが疑問に思えてきた。

まぁ、あれだけ勝ってますし上手いんじゃないですかねぇ。

「あの馬場で追い込みで勝とうと思ったらあぁやって馬群を捌くしかない。さすがレーン」って言ってる人もいるけど、パトロールビデオを見ると内でジッとしてたわけじゃなくて一旦は外に出すことも視野に入れているように見えるし、何より大前提としてそれなら前半でもっと位置取っとけよって話でもあるし……。

前日のメトロポリタンS・カウディーリョの騎乗についても俺っちはやや不満を感じているから余計にそう感じるのかもしれないけど……。

個人的には「下手とは言わないけど、レーン騎手が乗ってるからと言って予想で加点要素にする必要はない」くらいのイメージだね。陣営の勝負度合いとかは抜きにして。

ウイングレイテストはスタート決めたのに最後方まで下げて大外ブン回しと言う、結果的にこのレースで一番やっちゃいけない形のレースをした。まぁ、横山武史騎手にしたら「勝ち切るには一か八かハイペースにかけて、直線大外一気しかない」って言う腹のギャンブル的騎乗だったのかもしれない。(だとしたら見事に裏目ったけど。)

ただ、2頭とも「どの条件で推せるか」はまだ判然としないし、3歳同士のレースならともかく、古馬との対戦でどれだけやれるかは未知数だからそこまで強くは推せないけどね。「トラックバイアスなしの状態で同じメンバーと走ったらもっと上位に来れる可能性が高い」くらいの意味に捉えてほしい。

高速馬場における東京マイルの馬券の狙い方

あと東京マイルでここまでの高速馬場になると「1400m実績」特に「1400mで先行して好走した実績」が重要になってくるのかなとちょっと思った。

確かに1着、2着はオープン以上の1400mで勝利経験がある馬。3着のギルデッドミラーも1400mをかなりの好タイム(過去10年どの年のフィリーズレビューよりも速い時計)で勝って館山さんが褒めていた馬ですね。でもどうしてそうなったんでしょう?

前につけるってことは簡単に言えば「レースの前半を速いペースで走る」ってことだよね。で、高速馬場って何だって言えばこれも簡潔に表すと「前半いつもより速いペースで行っても後半に脚を余すことが出来る」ってことだと思うんだよ。

これを言い換えると「1600mのレースで前半短距離のつもりで走っても最後までエネルギーを余すことが出来る」と言うことになるんじゃないかと思うんだ。だから1600mのレースでも前半は1200mや1400mのペースで走ることになる。

1200mと1600mだとそこまでペースって違うもの何ですか?

そうかそこを説明しておかないとね。じゃあ例えば「マイルのハイペース」を4F45.0と設定しよう。これは過去5年のNHKマイルカップの前半4Fより速いタイムだ。これを1F当たりに換算すると45.0÷4=11.25、これ3倍すると11.25×3=33.75となる。1200m戦で前半3F33.7と言ったら感覚的に「少し速いかな」か「何ならちょっと遅い」くらいだよね。200m、400mの違いだけでそれくらい「レースのペース感」と言うのは違ってくると思うんだ。

そうなってくると1600mでスンナリ先手を取れていた馬が「1400mのペース」でそれが出来るとは限らない。「1400mのペース」で先手を取れるのはやっぱり「1400mで先手を取れる馬」ってことになるんだよ。

あー、そーゆーことね!完全に理解した!

まとめ

1着 ラウダシオン

◆ハイペースでもスムーズに先手を取ることが出来、鞍上の指示に素早く動ける機動力もある。レースセンスが高く競馬が上手な馬。

◆適距離は1400mのイメージ1200m、1600mは守備範囲内。

◆一度スランプになっても高齢でしぶとく巻き返す印象のある血統で息の長い活躍が出来そう。

2着 レシステンシア

◆テン乗りや「体調不良説」の影響もあったのかいつもより抑え気味の競馬。これが結果的にマイナスに作用したか。

◆個人的にはキョウエイマーチやラインクラフトのように3歳戦なら2000mまで通用すると思うのだが、どうだろう。

5着 ルフトシュトローム

◆外枠で後方からレースを進めるこの日の馬場ではノーチャンスの競馬。

◆直線もいったん外に出そうとするも内を突くなど行き場に迷ってる印象あり。脚を余しての敗戦で力は出し切っていないように思う。

7着 ウイングレイテスト

◆この馬も外枠で最後方からとこの日の馬場を考えるとその時点で勝つことが不可能ともいえる競馬。

◆直線の伸びは目立っており、能力の一端は感じ取れた。