血を繋げると言う事
こんちわ~す。館山速人で~す。
今日はちょっと真面目なブログ。競馬の魅力の一つである「血統」について語りたいと思います。
語ると言っても「○○の子供はこういう条件に強い」とか「△△系の馬は重馬場で狙え」とかそういう馬券的なことは一切出てきません。
ただただ、親子何代にもわたって応援できる競馬の楽しさを「ある馬」のことを通して伝えたいだけです。
そのある馬とは「Ivar」と言う名の4歳牡馬、そしてその父「アグネスゴールド」と言う種牡馬です。今日はこの2頭についてのお話をちょっとだけしていきたいと思います。
アグネスゴールドの現役時代については以前ブログにも書いているので簡単に説明すると、2歳の12月に日本でデビュー。新馬戦を鮮烈な差しきりで勝利をおさめると、そこから若駒S、きさらぎ賞、スプリングSと負けなしの4連勝。一躍クラシック候補となりました。
この当時は、同世代に同馬主・同厩舎で主戦騎手も同じこちらもデビューから無敗の3連勝を記録していたアグネスタキオンがおり、「主戦騎手である河内洋騎手はどちらを選ぶんだ⁉」と話題にもなりました。思えばこの年のクラシックが個人的には一番胸躍らせていた頃で、特にこのアグネス2頭には強い思い入れもありました。
しかし、残念ながらゴールドはスプリングSの直後に骨折が判明。春のクラシックを棒に振ることになります。
秋に復帰を果たしたゴールドでしたが、休養明け初戦の神戸新聞杯、続いてのG1菊花賞ではともに8着と結果は残せず、続く鳴尾記念で3着と兆しを見せたものの直後故障が判明し再度休養。その後は1走もすることなく種牡馬入りすることとなりました。
ここで当時の種牡馬事情を振り返ってみましょう。
2000年代前半のサイアーランキングはサンデーサイレンスの独壇場。「サンデーサイレンス系にあらずんば馬にあらず」という言葉が出来てもおかしくないくらい、この血を持つ馬で溢れていました。
そんな中種牡馬入りしたアグネスゴールドにとってライバルは同じサンデーサイレンスの血を持つアグネスタキオン、スペシャルウィーク、フジキセキ、ダンスインザダークと言ったG1ホース。G1勝ちのないアグネスゴールドにとって簡単に渡り合える相手ではありませんでした。
加えてアグネスゴールドの母方の祖母はサンデーサイレンス以前のチャンピオン種牡馬ノーザンテースト。血が近くなりすぎることから数多いるノーザンテースト肌の牝馬に配合することは難しく、質・量ともに満足に配合相手を確保することは誰が見ても厳しい状況でした。
その為種付け頭数は満足がいくほど集まらず、産駒がデビューするのと同じ年の2007年にはアメリカへ移籍。翌2008年にはブラジルへと渡りました。
現役時代に応援していた馬の子供をまた応援することは競馬ファンの至福の喜びの一つです。しかし、海外競馬はもちろん地方競馬の情報も簡単に手に入れる術がなかった当時の私は「あぁもうアグネスゴールドの子供を応援することはないんだろうなぁ」と漠然と寂しさを感じていました。
しかし、突如として状況は大きく変わります。
アルゼンチンにIvarと言う名の大物が現れG1を連勝。その馬がアメリカに移籍し北米のG1戦線に打って出ることになったのです。
もちろんそれまでには、アグネスゴールド自身がブラジルで種牡馬としての実績を積み、ブラジル生産界で確固たる地位を築いてきたことが大きいのだけれど、私にしてみたらこの話題は寝耳に水。
「もしかしたらこのIvarが大仕事をやってのけるのではないか?」
そんな期待が膨らんでいきました。
そして、今年10月ブリーダーズカップマイルの前哨戦ともされるアメリカのG1シャドウェルターフマイルステークスをそのIvarが制したというニュースを聞いた瞬間、その期待はさらに大きく膨らんで、
「アグネスゴールドの子がブリーダーズカップを勝つかもしれない」
「もし勝てば、日本生まれの種牡馬として初めての快挙だ」
「そうなればある程度の看板がついての種牡馬入りは確実。日本でアグネスゴールドの直系子孫が走るのを見ることが出来るかもしれない」
15年以上前に諦めたはずの夢が、再びよみがえってきたのです。
ブリーダーズカップ当日。朝起きられる自信がなかった私は、ほぼ寝ずにブリーダーズカップマイルの時間を待ちました。
youtubeを探して、公式が会場の様子を生中継で映した映像にレース画面も映っていたのでそれを見ながら応援。
アグネスタキオンの子供では、ディープスカイのダービー、ダイワスカーレットの有馬記念を筆頭に何度も熱い思いを胸に秘めながら応援していたのですが、その時の感情を久しぶりに思い出したような気がしました。
結果は外目をジワジワと伸びるも4着。残念な結果でしたが、南半球で生まれたIvarはまだ4歳になったばかり、来年もまた夢を見させてくれると思います。
何より、自分が応援していた馬の子が世界最高峰の競馬の祭典であるブリーダーズカップ競走のひとつで上位人気(3番人気)になり、その馬を応援できた。それだけでIvarや関係者の方には感謝してもしつくせないくらいです。
いつかIvarが種牡馬入りして、その子、その孫が日本で活躍することを夢見つつ、今はIvarの健康と活躍を祈りたいと思います。
こんな風に好きになった馬の子や孫も応援できるところが競馬のいい所、それが「一度は諦めかけていた夢」だったら尚更ですよね😉。
アグネスゴールドについて書いた過去記事はこちら!