マヤノトップガンの思い出深いレース2戦+α

こんちわ~す。館山速人で~す。

アシスタントの大澄晴香です。競馬界はこの1週間、JBCやメルボルンCと話題が豊富ですね。

そうだね。そんな中また1頭、名馬がこの世を去ってしまったね。

マヤノトップガンのことだね。個人的にはちょうど競馬に興味を持ち、ハマっていく頃に活躍していた馬だから印象深い名馬の1頭だね。

で、マヤノトップガンはどういう馬だったんですか?

そうだね~。よし、今日は折角だからマヤノトップガンについて、俺っちが思い出深いレースに沿って語っていきたいと思うよ。

96年阪神大賞典

96年の阪神大賞典は戦前から「2頭によるマッチレース」と言うのが専らの噂だったんだよ。

2頭と言いますと?

1頭はもちろん本日の話の主役マヤノトップガン。95年1月にデビューしてからしばらくはダートを使われ、7戦2勝と平凡な成績だったんだけれど、芝を使うようになったのを機に本格化。重賞で2連続2着の後菊花賞、有馬記念を連勝。その年の年度代表馬に輝いた。

なるほど。前年の年度代表馬が天皇賞(春)に向けて復帰してきたって感じですね。

その通り。でもう1頭はナリタブライアン。

さすがにその馬は知ってますよ!史上5頭目の3冠馬ですよね。

そうだね。だけど、当時のナリタブライアンはケガから復帰してから12着→6着→4着と本調子ではなかった。それでも当時のメンバーの中では断然の実績。マヤノトップガンと意外には負けないだろうと考えられていた。

で実際のレースはどうだったんですか?

うん。流石に3000mのレースだから前半は淡々としたペースで流れていたんだ。位置取りとしてはマヤノトップガンが前でそれをナリタブライアンがマークする形。

レースが動いたのは残り800m地点の手前。マヤノトップガンが「こんなペースには付き合ってられない」とばかりに早めにに動いて先頭に立つ。それを追うようにナリタブライアンも上がっていく。残り600m地点でマヤノトップガンとナリタブライアンが並んだ。

そこからはもう2頭のマッチレース。体を突き合せた一騎打ち。最後までお互い譲らずに、最後は首の上げ下げでわずかにナリタブライアンがこの戦いを制した。

近年、ウオッカ対ダイワスカーレットの天皇賞秋など「名勝負」と言われるレースはいくつかあるけれど、純粋な「マッチレース」という形になったのはこのレースくらいだと思う。

過去にこれほどのマッチレースはあったんですか?

残り200mからとかならあるだろうけど、残り600mからのマッチレースはなかなかないねぇ。これより明確に「マッチレース」と言えるレースはテンポイント対トウショウボーイの争いになった1977年の有馬記念くらいじゃないかなぁ。

97年天皇賞(春)

この年の天皇賞は「3強」との評判が高くて……、

この頃は「2強」とか「3強」と言われるレースが多いですね。

有力馬があまり使い分けせずに、主要なG1には積極的に出走していたからね。

で、その3強の1頭はもちろんマヤノトップガン。前述の阪神大賞典の後、宝塚記念を制したんだけど、その後は不振に陥っていた。しかし、ナリタブライアンと死闘を演じた阪神大賞典でそれまでの先行策から一転、差す競馬を試みるとそれがハマり復活を遂げていた。

なるほど。では他の2頭はどんな馬だったんですか?

1頭はサクラローレルという馬で、前年の天皇賞(春)と有馬記念を制している当時の現役最強馬。秋には凱旋門賞への遠征も予定されていたけれど、このレースは休み明け。「力ならこの馬がナンバーワン」というのが当時の評価だったと思うよ。

もう1頭はマーベラスサンデー。故障でクラシックを棒に振ったんだけど、古馬になってカムバックしてからは重賞4連勝を含む6連勝で一気にスターダムに駆け上った馬。G1でも4着→2着と好走し「今年こそはG1を」と期待されていた。前哨戦の大阪杯も快勝し「勢いならこの馬」との声もあった。

迎えた天皇賞(春)。スタート直後はマヤノトップガンにややかかるところが見られたものの、鞍上の田原成貴騎手が上手くなだめて、また内枠だったこともあり致命的に折り合いを欠く前に抑えることが出来た。

2周目の3コーナー手前で異変が起こる。1番人気のサクラローレルが外からまくるような勢いでペースを上げたんだ。その姿はやや折り合いを欠いて抑えきれない風に見えた。

サクラローレルをマークする形をとっていたマーベラスサンデーと武豊騎手はこれに追随しペースを上げた。3角手前で先頭の馬を射程圏に捕らえる位置取り。

他方、マヤノトップガンと田原成貴騎手はと言うと、それを後ろの方でジーっと見て、虎視眈々と機を伺い、サクラローレル、マーベラスサンデーよりツーテンポほど後に、徐々に侵出を開始した。

4コーナーでサクラローレルとマーベラスサンデーがほぼ並んで先頭に立って直線を向いた時、マヤノトップガンは4馬身くらい後ろ。それまでずっと内を走って溜めていた末脚を爆発させるべく上手く大外に持ち出していた。

直線サクラローレルとマーベラスサンデーが後続を引き離す中、後方で脚を溜めた馬の中で唯一それについていけたのがマヤノトップガンだった。の

残り200mあたりになるとマヤノトップガンのエンジンが全開!大外を真一文字にグングンと伸びて前を行く2頭を捕らえて1着でフィニッシュ。タイムは3分14秒3というレコードだった。

「人馬一体」という言葉がしっくりくる鮮やかな差しきりですね。

種牡馬として

マヤノトップガンは種牡馬としてはどんな馬だったんですか。

正直なことを言うと、俺っちは「競走馬・マヤノトップガン」よりも「種牡馬・マヤノトップガン」の方が好きだったんだ。

基本的にはステイヤーズSと目黒記念を制したチャクラを筆頭に、日経新春杯を制したバンブーユベントス、目黒記念を勝ったムスカテールなど長距離でスタミナとロングスパートが出来る持続力を生かす馬が多かった。

だけど、芝ダート問わず短距離で活躍したプリサイスマシーンみたいなスピードが持ち味の馬もいたし、サマー2000シリーズ優勝のホッコーパドゥシャみたいな中距離場もダート重賞5勝のメイショウトウコンのようなダート馬も出してバラエティ豊かで引き出しの多い種牡馬だったと思う。

ただ、それらの馬は種牡馬になれなかったり、種牡馬として活躍できずサイアーラインを繋ぐことは現状出来ていない。

ナリタブライアンが早逝してしまったため、マヤノトップガンにはブライアンズタイムの後継種牡馬として期待がかかっていたし、それに見合うだけのポテンシャルも見せていただけにもっと牝馬が質・量ともに集まっていたり、何か一頭大物が出ていればなぁと勿体なく感じてしまう種牡馬だよ。

やっぱり種牡馬の世界は厳しいんですね。

でも俺っちは何となく、そのうち母方にマヤノトップガンを持つ大物が出てきそうな気がするんだよね。その日を楽しみに待ちながらマヤノトップガンの死を悼みたいと思うよ。

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