(俺は)名馬(だと思う)物語~サイコーキララ~

(俺は)名馬(だと思う)物語~サイコーキララ~

こんちわ~す。館山速人で~す。

お久しぶりです。アシスタントの大澄晴香です。

……。お久しぶりって言っても、土曜日の深夜に更新したじゃん。

ブログは出来る限り間を開けず書くのが基本です!4日間も更新がないのは怠慢です!私も仕事が減っちゃうじゃないですか!

ぐぬぬ…。じゃあ、今日は「(俺は)名馬(だと思う)物語」を書いていくよ

あのぉ、レース回顧が函館記念から溜まっているんですがそれは……。

!!まぁ、それはおいおいと……。

予想したんだから回顧も責任をもってやるべきでしょう!!

むぬぬ…。まぁ、小出しにはなるかもしれないけど、出来る限りやっていくよ!

(たぶんやらないんだろうなぁ…。)で、今日は何という馬の紹介ですか?

今日紹介するのは、

サイコーキララ

だよ。

晴香ちゃんはサイコーキララは知ってる?

名前は何となく聞いたことがある気がします。

OK。じゃあ、サイコーキララについて紹介していくね。

石山繁という男~掴めなかった騎手人生最大のチャンス~

サイコーキララについて紹介する前に晴香ちゃんに聞きたいんだけど、晴香ちゃんは石山繁というジョッキーは知っているかい?

その方も名前くらいは聞いたことある程度です。

石山繁騎手は1995年にデビューしたジョッキーで初年度は17勝、2年目も17勝を挙げたんだけど、3年目の1997年は10勝にとどまり、正直やや伸び悩み気味で「ここで勝ち星を維持できるかが今後の騎手人生の分水嶺かな」という時期に差し掛かっていたんだ。

そんな1997年の暮れ、彼に一頭の騎乗依頼が舞い込むんだけど、その馬が…、

サイコーキララですね。

いや、ファレノプシスだよ。

そっ、そっ、そうなんですね。(汗)

でも、ファレノプシスって確か……。

まぁ、待て。石山繁騎手とファレノプシスのコンビは、新馬戦を9馬身差の圧勝で飾ると、その後もさざんか賞、エルフィンSと破竹の3連勝。石山騎手には当時まだだった重賞勝利どころか、クラシック勝利も期待されるようになったんだ。

そんな状況でファレノプシスは桜花賞の前哨戦としてチューリップ賞を選択する。レースはシンザン記念の勝ち馬ダンツシリウスと人気を分け合うも単勝オッズ2.1倍で一番人気だった。だけど…、

3枠3番がファレノプシスと石山繁騎手です。

レースはスタートでやや出負け。ポジションを取ろうと押していくも前が詰まって後手後手の競馬。直線も一旦内を突こうとするも開かず外に出して届かず。馬券圏内にも入れない4着という結果だったんだ。

騎手の責任にされてもおかしくない負け方ですね。

実際、陣営もそう判断してか、桜花賞本番では武豊騎手に乗り替わりになったんだ。

やはり勝負の世界は厳しいですね。

その後のファレノプシスはこの年の桜花賞、秋華賞を制するとG1を計3勝して引退。名牝として競馬の歴史に名を残すことになる。一方の石山騎手は1998年が5勝、その翌年も5勝と成績は下降線を辿ったんだ。

ファレノプシスでチャンスをつかめていれば。と思わずにはいられないですね。

そんな状況で石山騎手には新しい出会いがやってくる。それがサイコーキララだったんだ。

ファレノプシスと同じような軌跡を辿る新たなパートナー

サイコーキララは、近親に三冠馬ナリタブライアンがいるファレノプシスと違って、決して良血とは言えない馬だったけれど、抜群のレースセンスと素軽いスピード、騎手の合図にスムーズに反応できる加速力は素晴らしいものを持っていたんだ。

それらを生かしてサイコーキララは新馬戦、紅梅S、エルフィンSと3連勝で一躍桜花賞戦線の有力馬として浮上してきたんだ。

レースの戦績はファレノプシスと瓜二つですね。

そんな中、サイコーキララの陣営は桜花賞の前哨戦として報知杯4歳牝馬特別(現:フィリーズレビュー)を選んだんだ。

今度は結果を残せるかというところですね。

7枠14番がサイコーキララと石山繁騎手です。

レースは好スタートから無理にポジションを取らずとも好位追走の形。4角抜群の手応えで先頭に並びかけると、そのままあっさり抜け出す完勝。まさに「桜花賞に向けて不安なし」と言ったレースぶりだね。

強い勝ち方ですね。

でしょう。まさしくさっき言った通り「レースセンス」「スピード能力」「加速力」を存分に発揮した勝利だったと思うよ。

見事にファレノプシスの雪辱を晴らしたといった感じですね。

ちなみに石山繁騎手にとってこの勝利が初の重賞勝利。きっと感慨深いものがあっただろうね。

迎えた桜花賞。サイコーキララと石山繁の運命や如何に⁉

前哨戦で結果を出したことにより、本番の桜花賞でも当然石山繁騎手が騎乗することになった。

当日は単勝オッズ1.8倍の圧倒的1番人気に支持された。中には鞍上を不安視して軽視した人もいただろうけど、これだけの人気になるってことは「石山繁に勝ってほしい」と願って単勝を勝った人もいたんだと思う。

で、で、レースはどうなったんですか?

7枠13番がサイコーキララと石山繁騎手

レースはややスタートで出負けした格好。当時の阪神芝1600mはいわゆる「おにぎり型」のコースで、スタート直後に2コーナーが来るからどうしても外枠だと距離損があって位置をとるのが厳しくなる。このレースのサイコーキララもそんな感じでいつもより位置取りが後ろになってしまった。

内へ入れることが出来ず終始外々を回る形でレースは勝負所。3角から4角にかけて外目を通って上がっていくも、直線前の馬を交わせるだけの余力は残っていなかった。結果4着と敗れてしまったんだ。

館山さんはレースを振り返って石山繁騎手の騎乗についてはどのような感想をお持ちですか?

一言で言えば「可もなく不可もない競馬」だったかなと思うよ。

G1経験の少ない石山騎手にとっては大事に乗りたい局面だっただろうし、4戦4勝の競馬を踏襲して、外々を回りながらも4角先頭の競馬をしたのは間違いではないと思う。

ただ、あそこで思い切ってどこかのタイミングで内に入れていたとしたら、とか、仕掛けを遅らせて直線勝負にかけていたら、とかは思ってしまう。結果負けてしまったかもしれないけど、そこまで腹をくくれなかったのが結果的に良くなかったのかなとは思う。

その後、サイコーキララと石山繁騎手はどうなったんですか?

この後はコンビを継続したままオークスへ向かったんだけど、距離の壁もあってか、見当はしたものの6着に敗退。その後、サイコーキララは怪我で1年休養したのち、1戦して引退。繁殖としては1600万クラスまで行ったアグネスヨジゲンが目立つ程度で、母に迫るような産駒は出せていないのが実状だね。

石山繁騎手は、平地レースではその後思うような結果を残せなかったんだけど、障害レースで成績を上げはじめ、2005年にはフミノトキメキで小倉サマージャンプを制覇。その後に期待がかけられたんだ。

そんな矢先の2007年2月24日。障害レースの途中で落馬。脳挫傷により一時意識不明に陥る程の重傷で、目が覚めた後も言語や記憶力に障害が残る「高次脳機能障害」と診断されたんだ。

えっ……。

その後、懸命に復帰を目指すも、道半ばのまま2009年2月に引退。

引退後は馬術競技でパラリンピック出場を目指していたけれど、Wikipediaの情報によると馬の輸送費の負担が大きく、2017年をもって馬術競技からも引退されたらしい。

ただ、この情報の真偽は確認できていないので、軽々に言及することはできないけれど、今も懸命に生き続けておられるのは間違いないよ

はた目からは壮絶な人生といった感じがしますね。

そうだね。こんな風に騎手の方って本当に命がけでレースに乗っているんだよね。

だから、簡単に「死ね」とかそういう事を言っちゃだめだと心から思うよ。ガチで命張ってんだから。

もしもあの桜花賞でサイコーキララが勝っていたら、もしあの時代にTwitterがあったら。

競馬においてたらればは良くないと言いますが、もしもサイコーキララが桜花賞を勝っていたらその後どうなっていたんでしょうね。

どうなんだろうね。ただ俺っちはサイコーキララには一人の男の騎手人生を動かすだけの力は持っていたと思うし、もし桜花賞を勝っていたら、今頃はテイエムオペラオーとのコンビで名をはせた和田竜二騎手のようなポジションになっていたことも十分あり得たと思っているよ。

あと、俺っちが気になったのは「もしあの時代にTwitterがあったらどうなっていただろう」というのもあるね。

それはどういう事でしょう。

この前の函館記念の時、マイスタイルが1番人気となってTwitterでは「マイスタイル1番人気は分かるけど、田中勝春だから不安だなぁ。」というようなつぶやきが多くみられたんだ。

近年成績が上がっていない田中勝春騎手とはいえ、年間100勝を達成したことがあるジョッキーでこんな言われようになるのだから、当時で年間20勝もしたことがない、遠慮のない言い方をすればペーペーの石山繁騎手が乗る馬がG1で圧倒的な人気になるとなれば、ネットは結構ざわついていたと思うんだよね。それこそ、「騎手」だけが原因で人気が落ちるほどに。

もしそうなっていれば、余計なプレッシャーがなくなって案外あっさり勝ってたんじゃないかと思うんだよ。

もし館山さんがその状況で予想するとしたらどうですか?

俺っちはひねくれものだからね「サイコーキララは騎手が不安だから評価を下げよう」っていう意見が多ければ多いほど、強い意志でサイコーキララを本命にしていたと思う。逆に、「直前で武豊騎手に乗り替わり」ってなことになったら、絶対に本命は打たなかったと思うよ。

最近の競馬ではそういう乗り替わりって頻繁にありますからね…。

だからこそ、「この馬にはこの騎手」と言えるような名コンビは応援したくなるよね。

追記

もし、これを読んで「石山繁騎手に興味が出た」という方は、奥様の手記である『落馬脳挫傷』という本があるからそれを読んでみるといいかもしれません。

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