聖剣デュランダル~2003年スプリンターズS~

こんちわ~す。館山速人で~す。

さて今週は秋のG1開幕戦スプリンターズステークスが行われるわけですが、こちらのブログでもG1週恒例「思い出のG1」シリーズを復活させたいと思います👏!!

今日紹介するのは2003年のスプリンターズステークス勝ち馬

デュランダル

を紹介します。

フランスの叙事詩「ローランの詩」に登場する聖剣に由来する名を持つこの馬は、その名の通り素晴らしい切れ味を持っていました。

スプリントG1・3連覇をかける女王を中心とした混戦ムード

2003年のスプリンターズステークスは単勝1番人気ビリーヴを中心としたがらも、単勝10倍を切る馬が5頭いる混戦ムードが漂っていた。

1番人気ビリーヴは前年のスプリンターズステークス、その年の高松宮記念をともに制し「スプリントG1・3連覇」をかけてこのレースに挑んでいた。

2番人気はアドマイヤマックス。2歳時は新馬→東スポ杯2歳Sと連勝しクラシック候補と期待をかけられていたが3歳春を故障で棒に振ると古馬になってからはマイル路線を選択、秋になるとさらにスプリントにも目を向けてきた馬でG1勝ちはなかったが誰もがそのポテンシャルの高さを認める素質馬だった。

3番人気レディブロンドはその年の6月にデビューすると、1000万(当時)特別→500万特別→1000万特別→1000万特別→1600万特別と異例のローテで5連勝を飾り一躍「時の馬」になっていた外国産馬。後に無敗の三冠馬として競馬を知らない人にもその名を知らしめてディープインパクトのお姉さんである。

前哨戦のセントウルステークスでビリーヴに土をつけたテンシノキセキが4番人気。類まれなるスピードはG1に入っても引けを取らないものを持っていたが、中山最後の坂でスピードが鈍るのではないかと言う点がやや不安視されていた。

そして、単勝5番人気、単勝10倍を切る馬の中で最も人気がなかったのがデュランダル。前年夏に500万からオープンまで一気に駆け上がったサンデーサイレンス産駒。その武器は直線で他馬を一気に抜き去る豪快な末脚。しかし、オープンに上がってからはオープン特別1勝があるのみでその末脚を持て余し気味だった。前哨戦のセントウルステークスでも、上がり最速の末脚を使ったとはいえテンシノキセキとビリーヴには1馬身以上差をつけられての3着。まだG1では厳しいとの見方もあったが、このレースで初めて手綱をとった池添謙一騎手の進言でスプリンターズステークスに参戦してきた。

スプリンターズステークス史上「最も後方から」の差し切り勝ち

レース本番もこの5頭を中心に動いていたと言っても過言ではないだろう。

スタート直後から、最内枠を利してテンシノキセキがハナを叩く。カルストンライトオやサーガノヴェルと言った当時の快速馬達を向こうに回しながら軽快に逃げていく。

ビリーヴはその快速馬達の直後につける絶好の位置取り。追い出せばいつでも弾けそうな絶好の手応え。

レディブロンドは中段馬群の中からレースを進め、馬群からやや離れた後方3番手をアドマイヤマックス、さらにその後ろ最後方からデュランダルが続くと言う隊列。見事に有力5頭が逃げ、先行、差し、追い込みに分かれるレース展開となった。

前半の600m33.3と言うスプリント戦らしい速い流れで4コーナーに差し掛かると、早めにテンシノキセキを捕らえんとビリーヴが抜群の手応えで並びかける!直線に入ってテンシノキセキも懸命に抵抗するが手応えの差は歴然。残り200mで先頭に立ち、残り100mあたりで粘るテンシノキセキを完全に振り切ったところで、今度は後方で脚を溜めていたアドマイヤマックス、レディブロンド、デュランダルが一気に差を詰めてくる!その中でも一際目立つ脚色だったのだデュランダル。セーフティーリードかに見えたビリーヴとの差を一完歩一完歩着実に差を詰めるとゴール直前でハナ差しっかりと捉えて差し切り栄冠をつかみ取った。

3角順位15番手、4角順位14番手からの差しきりはいずれもスプリンターズステークス史上「最も後方」の位置取り。「短距離の穴は差し馬から」とは言っても前の馬がなかなか止まらないハイクラスのG1ではなかなか見られない差し切り勝ちはこの馬の末脚の破壊力を物語っていた。

蹄の病気と闘いながらG1を3勝する名馬に成長

その後のデュランダルは、池添騎手が完全にこの馬を手のうちに入れたのか、コンスタントに結果を残すようになる。

裂蹄と言う蹄の病気で満足にレースを使えない状況も続く中、それでもマイルCSを2連覇し通算のG1勝利数は3勝。ムーンライトハンデキャップと重馬場だった中山記念を除いては「上がり3F1位」の記録を2度しか譲らなかった名追い込み馬として長らく短距離界を牽引した間違いなく「歴史に残る」短距離馬と言えるだろう。